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バルセロナのスタートアップ事情(3)

2015.03.28 Sat

日本に帰って来て、スタートアップと言えばシリコンバレーで、欧州のスタートアップって殆ど知られてないなと知りました。なので、欧州、特にバルセロナのスタートアップに関する記事を書こうかと思って書いてる記事の第3弾。

今回はバルセロナのスタートアップを取り上げたいと思います!!
ただ、例と言っても私は全部を俯瞰して知っているわけではないので、在学中にコンタクトしたところとか、そのサービスを使ったことがある企業を中心に書こうかと。
なので、超がつくほど主観的です。笑

バルセロナのスタートアップ3例!!
(記事が長くなってしまうので、とりあえずは3つで。。。)


1.Softnic(ソフトニック)
http://www.softonic.com

月間ダウンロード1億4000万、月間ユニークユーザー1億3000万という、世界最大級のソフト・アプリのレビュー&ダウンロードサイトです。

このスタートアップのすごいところは日本にまでブランチを持っているところでしょう。
スタートアップの海外進出というハードルですら高いのに、アジアまで進出しているところは余り無いです。
昔はフリーソフトのダウンロードサイトの運営をしていたとのことですが、現在はアプリのダウンローダサイトだけではなく、おすすめのアプリ情報やソフトウェア情報を発信しています。

創業は1997年。2009-2011にはスペインで最高の働く環境(100-250人)に選ばれたりしています。
ただ、最近の業績は伸び悩みのようです。。。



2.Restalo(レスタロ)
https://www.restalo.es
バルセロナを拠点にするレストラン予約支援サービス。
2008年創業、2011年にActive Venture Partnersから100万ユーロの資金調達(Series A)、2013年にはSeaya VenturesとActive Venture Partnersから1000万ユーロの大型調達(Series B)をしています。
初めはスペイン語のみバルセロナ市内のみのサービスでしたが、英語ページもできたりマドリードやバレンシアにサービスを拡大したりしているようです。

以下、個人的体験談ですが、このサービスは私もバルセロナ在住時に使ってましたが、最高です!!
先ず予約方法が超・簡・単。場所選んだら日時と人数を入れれば終了。UIがシンプルで扱いやすくというのは素晴らしいです。
が、レストランから電話がかかって来ると、スペイン語で電話を受けることになるというトラップがあります。笑 何も無ければ電話はかかって来ませんが。。。

また、以下推測ですが、バルセロナには観光客向けの扱いと地元民向けの扱いが異なることがあるレストランが少なからずあると思っています。
でも、このサービスを通すと口コミがつくからなのか、待遇(具体的にはムール貝等の食材の質と量)も良かった気がします。

・今のiPhoneのアプリはこんな感じ。位置検出でレストランを探してくれるようになっている。PCは普通に地図上から探します。
20150328225620f11.jpg


3.Cooltra(クールトラ)
https://www.cooltra.com
バルセロナでよく見るアプリ系やゲーム系、またはライフサイエンス系のスタートアップと違って、こちらは「電動スクーター」のレンタルをしているスタートアップです。
ホームページを見れば分かりますが、欧州だけでなく南米にまで進出しています。
そして同じバルセロナにあるIESE Business Schoolとは提携していて、生徒に80台とか貸し出しているとか。(ESADEとも提携してくれてもいいのに。。。)
電動スクーターという環境に優しい乗り物を扱うところが、サステナビリティ先進諸国であるヨーロッパだなあという印象です。

創業は2006年。ファウンダーのTimo Buetefischはバルセロナがスクーター普及率が高いことに目をつけて、IESEの卒業後に起業したとのことです。
そしてこのFounderがESADEのアントレファイナンスの授業に来て講演してくれました!
アントレファイナンスは授業の後半がアントレやVCの方々のスピーチだったのですが、Cooltraのファウンダーはその中でも飛び抜けて話が面白かったです。惹き付けられる感がありました。

・Barceloneta近くのお店
20150328235223dd1.jpg


・ESADEのInnovation Summitに来た時の写真
20150328235403e19.jpg



長くなってしまうので3つの会社について紹介記事を書きました。
他にも追加しようかとおもっています。


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バルセロナのスタートアップ事情(2)

2015.03.26 Thu

日本に帰って来て、スタートアップと言えばシリコンバレーで、欧州のスタートアップって殆ど知られてないなと知りました。なので、欧州、特にバルセロナのスタートアップに関する記事を書こうかと思って書いてる記事の第2弾。

今回はデータを用いてどのくらいバルセロナがスタートアップ盛んなのかを調べてみたいと思います。


(1)ヨーロッパ内でのスペインの立ち位置

VCinEurope.png

欧州でのスタートアップへの投資の大きさ。
テック系が有名なイスラエルが1位、ベルリンを擁するドイツが2位。
以下、ロンドンを擁するイギリス、アムスを首都とするオランダ、フランス、そして(我が)バルセロナがあるスペインと続いています。
個人的にはフランス5位が意外です。どこか盛んな都市あるのか、パリの経済規模が大きいのか。。。

こう見るとスペインのスタートアップへの投資規模って欧州でもそんなに大きくは無いですよね。ドイツの4分の1、イギリスの3分の1ですから。ちょっと残念です。

まあしかしこのブログの目的はバルセロナのスタートアップ事情を綴ることですので、私は気にせずに書こうかと思ってます。笑


(2)スペイン内部での投資事情
①地理的な観点


結論から言えば、
スペインでのスタートアップはカタルーニャとマドリードに二極集中
こう言って良いでしょう。
しかし結論だけ先に言うとかなり当たり前っぽいので、ちゃんととデータを見てみたいと思います。

先ずはPEやVCなどファンド全体がスペインのどの地域に投資しているかを見てみましょう。

VCinSpain1A.png


図はPEやVCなどファンド全体がスペインのどの地域に投資しているかを表しています。スペイン全体への投資額を100として、どの地域にどれくらいの額投資されているかを示しています。
ここから言えるのは、まあやはりという感想なんですが、マドリードとバスクとカタルーニャが3強ということ。やはりと言えばやはりです。(※ちなみにバルセロナはカタルーニャ州にあります)

この3地域はスペインでも経済的産業的に栄えている地域です。そしてこの比率は他の地域との相対的なものですので、大型案件があると比率は大きくなりますよね。大きい会社がある地域の数字が大きくなるのは当然のことかと。

ちなみに、2013年では、マドリードではSantander Asset Management や Dorna Sports (MotoGPの会社)の投資が大きい。バスクでは水処理会社のBefesaへの額が大きい。そしてカタルーニャでは医療系のCentro Médico Teknon(私もこの病院にお世話になりました…)や、IT系の会社であるSoftonicへの投資が大きかったようです。

ただし、図には書いてませんが、投資件数としてはカタルーニャは最大とのことです。

(参考)投資件数:
カタルーニャ133件
マドリード107件
バレンシア37件(額としては2.2%しかないのに!)
アンダルシア34件(額としては0.2%しかないのに!)
バスク33件


さて、投資全体としてはカタルーニャへの投資額はマドリードの半分ですが、それにしては件数が多いということから、小さい企業への投資が推測されます。今度はVCの投資額を見てみましょう。

VCinSpain2A.png

図はVCがスペインのどの地域に投資しているかを表しています。スペイン全体へのVCの投資額を100として、どの地域にどれくらいの額投資されているかを示しています。

図ではバスクへのVC投資額が一気に下がって、カタルーニャとマドリードの二極となっています。この図からは、スペイン国内ではカタルーニャ(バルセロナ)に加えて、マドリードもスタートアップの盛んな都市と言えそうです。
(※ただ、私はあまりマドリードの事情は詳しくないので不明です。。。)


②資金源
よく言われるのですが、アメリカと違ってヨーロッパは政府系の資金が多いと言われています。
それが日本の事情と似ているという声も聞いたことがあります。
ここでスペインのVCへの資金源を見てみましょう。

VCinSpain6C.png

図はスペインでのVC、政府系VC、エンジェルの投資の数と金額。
VCの投資資金は横ばいだけどCDTIとENISA(※)という政府系の機構による投資やエンジェルからの投資は伸びています。また、CDTIとENISAによる投資の額や数は半分近くにも達しており、いかにスペイン国内での影響力が強いかが分かります。
これにCVC、例えば私が話を聞いたような銀行系のCVC等も加えると、政府系や金融系からの投資がかなりの割合を占めることになりそうだと推測されます。これはイノベーションという面では良いのかは不明ですが、スペイン人のちょっと保守的な気質から推測するに好ましい状態なのかもしれません。
なお海外からの投資も堅調で、2013年にスペインにVC投資をした20カ国のうち、14カ国が初の投資であったとのこと。

※CDTIはスペイン政府産業技術開発センター(Centro para el Desarrollo Tecnológico Industrial)
※ENISAはスペインの イノベーション支援機構(Empresa Nacional de Innovacion, S.A.)


③スタートアップの種類
最後に、スペインのスタートアップがどのような分野が多いかをご紹介します。

VCinSpain3.png


正直これは予想通りなのですが、1位はダントツでコンピュータやインターネット関連です。
やはり初期設備投資が大きくならないインターネット関連の起業は、他の「重い産業分野」に比べてハードルが低いこともあるのか、非常に盛んです。
バルセロナでもアプリ系やゲームのスタートアップがとても多かったです。

2位と4位にはバイオテクノロジーとファーマという、欧州が伝統的に強い分野があります。
3位の運輸は気になります。でも、バルセロナの交通局(TMB)の整い具合からするとそれも理解出来ます。
例えばですが、TMBのアプリは大変優れています。全メトロとバスの路線や時刻表が分かるだけでなく、バス停でも地下鉄でもあと何分でバス/電車が来るという表示サービスを、携帯電話のアプリ上で見られます。それもとても簡単に。現在位置で検索してくれたり、4桁のバス停コードを入力するだけで簡単に検索出来る。そう言ったサービスがとても盛んでした。
もしかしたらこういったところに用いられているのかもしれません。



そんなところでしょうか。

今回は余りバルセロナの話じゃなかったですが、(3)はバルセロナのスタートアップの実例、(4)はバルセロナのスタートアップを取り巻く環境(インキュベータ施設とか)を書いて行こうかと考えています。


※ちなみに、今回使用したデータはASCRI: The Spanish Venture Capital Association のサイトにあります。もしご興味あれば。


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バルセロナのスタートアップ事情(1)

2015.03.25 Wed

日本に帰って来て、スタートアップと言えばシリコンバレーで、欧州のスタートアップって殆ど知られてないなと知りました。なので、欧州、特にバルセロナのスタートアップに関する記事を書こうかと。


欧州はシリコンバレーのようなスタートアップが「超」集まっているような土地は無いのですが、それでも「スタートアップ向け」の土地というのがあります。その辺りも含めて紹介出来たら。


・欧州でスタートアップの「雰囲気」を持った都市とは??

スタートアップに限らず、その都市なり国が持つ「雰囲気」とか「空気」というのは産業にとって非常に重要です。
例えば、パリやミラノは服飾やデザイン、ラグジュアリーが盛んです。一方で北欧やオランダ・ドイツ発のラグジュアリー系のブランドというのは余り聞きません。例えばオランダやドイツの質実剛健の雰囲気とラグジュアリーが今一つマッチしないのは分かると思います。

スタートアップも同じだと思います。スタートアップの「雰囲気」を持った都市というのがあります。アメリカだったらシリコンバレー、欧州だったらスタートアップの盛んな都市は以下の記事が参考になると思います。

(参考)The 6 Top European Cities for Startups
http://tech.co/6-top-european-cities-for-startups-2015-01

このランキング、順位の上下はあるものの、大体現地に居た時の感覚に近いです。


・欧州での「スタートアップ向きの都市」としては、ベルリンが最も有名

1位ベルリンはそうでしょう。納得です。
「ベルリン スタートアップ」と検索するだけで記事が色々と出て来ます。欧州でも頭一つ飛び出していると思います。
東西冷戦の終結やベルリンの壁崩壊からの復興とそれに伴うインフラ整備、比較的安い家賃、英語を話せる人の割合の高さ、欧州各都市へのアクセスの良さなど、まさにスタートアップが発展する土地の多くを備えているように思えます。

(参考)クリエティブ都市・ベルリンのスタートアップが熱い理由
http://www.huffingtonpost.jp/the-new-classic/post_6500_b_4484073.html

(参考)ヨーロッパでのスタートアップでベルリンがイケてる理由
http://kawaji-s.com/mk/1004

(参考)ベルリンでスタートアップ!
http://www.newsdigest.de/newsde/regions/berlin/5751-es-ist-ein-startup-in-berlin.html


2位のブダペスト、3位のロンドンも、順位はともかくスタートアップが盛んな都市として知られています。
ブダペストはITへの投資が有名。そして安い労働力という長所があります。ロンドンは言わずも知れた金融都市ですし、それに伴うスタートアップが多いのでしょう。



・バルセロナ:オープンマインドが育むスタートアップのカルチャー

20150104234345add.jpg


そして4位のバルセロナ。
バルセロナがスタートアップに適した土地である理由はいくつかあります。
第一にあげられるのはオープンマインドでしょう。

そしてそれに大きく関わっているであろう要因が天気です。
バルセロナはシリコンバレーと同じ地中海性気候に属しており、1年中晴れています。私もバルセロナで暮らして痛感しましたが、気候によるストレスというのは実はかなり大きいです。バルセロナの気候に関しては文句の付けようがありません。天気ストレスフリーな生活は本当に良かったです。

そして人々をオープンマインドにさせるもう一つの要因が多様性です。
スペインには、南スペイン(アンダルシア)等の地方に言ったことある方なら経験あるかもしれませんが、保守的で人種差別的な空気が一部残っています。たまにリーガ・エスパニョーラで黒人選手が人種差別行為を受けることがありますが、ああいった事件を起こすような人もいるのです。)

一方でバルセロナには人種差別的な空気はほぼありません。コスモポリタンであること、観光都市で世界中からの来客に慣れていること、色々あると思います。
しかも人種差別どころか同性愛者にも大変寛容で、そこら中で男同士でも女同士でも(もちろん男女間でも)キスしています。
*ちなみに、これは当初かなりのカルチャーショックでしたが、慣れれば逆にこれが普通になりました。逆に日本に帰って来て同性愛者への非寛容性に驚いています。

政治的な観点から見ると、カタルーニャの独立志向という要因は欠かせません。
カタルーニャはスペインでも高い経済力を誇る地域ですが、もし独立しても当然他の欧州の国と比べて経済規模が小さいです。また、スペイン内でも圧倒的に栄えているというわけではありません。事実一人当たりのGDPの額はバスク地方の方が高いですし、失業率の高さは相変わらず問題です。つまり本当に独立したいのであれば、経済的にもきちんと自立する必要があるため、より殖産興業の必要があるわけです。


・外国人への門戸も開き始めたバルセロナでのスタートアップ

バルセロナでスタートアップを始めるにあたって最大の敵は法律、特にビザでしょう。
学生ビザですら超絶面倒かつ属人的な気まぐれ手続きに振り回されるスペインにおいて、何の財政的後ろ楯も無い起業家をすんなりと受入れるようになるのは時間がかかりそうです。また、あの超絶面倒な手続きはアントレ的な思考とは正反対のプロセスです。
ただ、以下の記事にあるように、スペイン政府は外国人による起業を支援するように、ビザの改善を始めるようです。徐々に変わって行くのかもしれません。

外国人起業家さん、いらっしゃい!スペインが「スタートアップビザ」新設
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41627

これ、実は私にも案内が来ました。
ESADE MBAを卒業すると、ESADEに併設されているインキュベータ施設を1年間使える+法的な手続きのサポートもしてくれるということで、数人のクラスメートは利用しているようです。
考えたらMBA前からバルセロナで起業したいと考えている人にとっては夢のような制度に見えるかもしれません。(もちろん、保守的な思考、従業員の生産性、英語を話せる人の割合の低さなどネガティブな面もたくさんあるのですが、それは別の機会に。。。)


この記事、タイトルに(1)と入れましたが、(2)以降は考えていません。例とか紹介したいなと思っていますが、適宜書きたくなったらアップします。


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プロフィール

シャムロック

Author:シャムロック
機械工学専攻→メーカーでエンジニア。
2013年の夏からスペイン、バルセロナにあるESADE business schoolに通いMBA取得を目指します。
技術的なイノベーションに興味あり。エンジニアの経験を活かして、技術と市場をつなぐ人になれたらいいな。

あと旅人です。旅が好き。写真も好き。いつか写真を撮りながら世界中を旅したい。
写真:http://fotologue.jp/shamrockairways/

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